GARAMの香り

ワールドカップ眺めながら
週末へ向けて
遊びの準備





ALL ABOUT LOVE / NITE FLYTE (1979)





おじさんの
サニー・カリフォルニア
僕は
カーステレオで
この曲を聴きながら
ルーフのボードを眺めてる

おじさんは
キッチンで
ラジオの天気予報
サンドウィッチ作りと
大忙しだ

おばさんは
日に焼けるのがいやなので
一緒には行かないらしい

僕にとっては好都合
まだボードに満足に立てないから
いくら親戚とはいえ
女の人の前でかっこ悪いとこ見せたくない



IF YOU WANT IT (1979)





「いくぞ」
おじさんが
不似合いなバスケットを
後部座席に置いた
ボードがちゃんとしてるかチェック
OKサイン

海沿いの国道
渋滞に巻き込まれることもなく
南へ進む
おじさんの
お手製サンドウィッチほおばりながら

数時間走ったところで
おじさんは車を止めた
公衆電話
僕は路地で小用を済ませた

再び車は南へ

電話した後
おじさんはニヤニヤ
思い出し笑いでもしてるのかなぁ
まあ
僕も海に出かけられるんで
内心にやけてるんだけどね

ようやく
目指していた海にに着いた
海開き間近
大勢の人達が
海の家を建てていた

おじさんは
その人達に
「萩の月」を渡しながら
挨拶をすると
僕を手招き

「こんにちは」
うまくいえたかな
「お、○○の甥っ子か」
でっかい手で頭をごしごしされた
初対面のくせに
馴れ馴れしいと
ちょっとばかりむかついたけど
「はい」

少年ぽく挨拶した

日が落ちるまで
雑用をこなした
海の家も
じきに完成

おじさんは
海の家の人から
鍵を渡された
どうやら
今夜
僕らは
ここに泊まるらしい

日が沈む前に
おじさんは
波と戯れ
僕は双眼鏡で
それを見ていた

日が暮れたので
僕達はシャワーを浴びて
晩御飯食べに近くの食堂に向かった

僕は
おじさんが薦めてくれた
「ポーク・ジンジャー」にした
ハイカラな味だ
ご飯と味噌汁
お代わりしてしまった



(この時「豚の生姜焼き」とは気づいていなかった)



長旅と
材料運びとかで
疲れたのであくびが出た

おじさんが会計済ませるまで
僕はトイレで用を足した
「手洗ってきたか」
そう聞かれ思わず引き返した
戻ってみると
おじさんはまた公衆電話

人の話
立ち聞きは良くないと思ったので
急いで車に乗り込んだ

がらんとした海の家

おじさんは
オイルランプをつけた
僕は
板の上に横になったら
すぐに寝てしまった





トイレに行きたくなって
目が覚めた



隣にいたはずのおじさんの姿はなく
やけに心細く感じた
つけっぱなしだった
ランプの炎が揺れるたび
外国のお化けが踊ってるみたいで
おっかなかった

僕は
建物の端っこで用を済ませ
猫や犬みたいに
その辺の砂をふりかけておいた
どうかばれませんように

起きてるといいことがない

座布団を
全身と頭に乗っけて
一生懸命に寝ようとした

ひつじがいっぴき
ひつじがにひき
ひつじが・・・



肩を押され目が覚めた

もう朝

おじさんの息は酒臭かった

「蚊に刺されたの?」
おじさんの首筋を指差した
「ん??」
怪訝な表情
おじさんは鏡を見つめながら
「余計なことは言うなよ」
ちょっと怒った口調
慌てて
盛大にサンオイルを塗るおじさん
今日は海に入らず
僕を見ていてくれるらしい

先生が見てるなら
うまくならなきゃ

バナナを3本と
牛乳が朝ご飯

海水はまだ冷たかったけど
腹ばいになってパドリング
波に押し返されてばかり

何度も挑戦

そのうち
急に進めるようになった

海の家の人達がやってきて
こちらに向かって
「お~~~い甥っ子、大丈夫か」て叫んでた

ざぶざぶと
大きな音がしたので
サメでもいるのかと思い
振り返った

入らないといってた
おじさんが
僕とボードを岸に押し返していた

「カント教えてなかったな、すまん」



それから
ラーメン食べて昼寝した



目が覚めると
おじさんは
なにやら派手なムームー着た
お姉さんと話していた

お姉さんは
おじさんの蚊に指された跡を指でなぞってた
風に乗って
お姉さんの香水と思われる
甘ったるい匂いが僕の鼻先に

いっぱい飲んでしまった
海水と
ラーメンのスープ

なんか気持ち悪くなって吐いた

骨っぽい手
背中をさすられた
お姉さんの手
「大丈夫?」

知らない女の人に
世話されたくない
そう思った

「もう帰れ」
おじさんの声

お姉さんは
勢い良くサッシを開け
海の家を飛び出した

ばつ悪そうに
おじさんは
海の家の人達に頭を下げていた

いろんな申し訳ない気持ちが沸いてきて
僕は寝た振り

「甥っ子楽になるまで見てるから波に行って来い」
「すんません」

口元をタオルでぬぐってもらってるうちに
どうやら寝てしまったらしい

目が覚めると
夕陽


おじさんはもう着替えていて
財布からお札を取り出すと
海の家の人に
「また迷惑かけちまったス」
「あんたのそういうとこ、慣れてっから」
みんな笑顔がはじけてた

僕もシャワーを浴び
半渇きの頭のまま車に乗ろうとすると
海の家の人が
麦藁帽子をかぶせてくれた

「また来いよ」
ぺこりとお辞儀をしてから
おじさんの待つ車に乗った

「おまえにも迷惑かけたな」
おじさんに謝られた
なんて言ったらいいのか
混乱して泣きたくなった



「おじさん、僕もっとうまくなるね
だから何度もつれてきてほしい」
(おばさんには楽しかったとだけ言うよ)



フロントガラス
外はオレンジ色
ガラムのにおい





僕は
なんとなく
大人になった気がした





EASY COME (1979)




鈴木早智子
言わぬが花・・・

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